
この記録には、私が網膜芽細胞腫になったことで、今も悩みつづけている「アピアランス(見た目)の問題」についてまとめています。
網膜芽細胞腫は両眼性・片眼性に関わらず、人によって抱える問題は多岐にわたります。
網膜芽細胞腫になったからといって、必ず私と同じような「見た目の悩み」を抱えるとは限りません。
最近は、「眼動脈注入化学療法(IAC)」「硝子体内注入化学療法(IViC)」という治療が登場し、アピアランスの問題を含む長期的な副作用が問題視される放射線治療は減少しているようです。
アピアランスの問題|私の見た目の悩み
私は「見た目の問題」から、これまでも好奇の視線や心ない言葉によって、たくさんの辛い経験をしています。
学生時代と社会人になってからでは、辛い経験の種類が変わりましたが、多くは総称して「目が変」「変なメガネ」「キモい」などと言われることでした。

私の場合、見た目で悩む要因が数多くあります。
「メガネ」による見た目の問題
私は、左目の水晶体を摘出しているため、”虫めがねのようなレンズのメガネ”をかけています。
メガネ自体も他人の視線を集める要因ですが、外から見るとレンズの影響で目が大きく見えてしまいます。

メガネの度数を変えて、外から見た時に左右の目がなるべく同じくらいの大きさになるようにしていますが、どうしても左右差は出てしまいます。
「義眼」による見た目の問題
右目は義眼を入れているため、左目を動かしても右目が動くことはなく、右目は常に正面を見た状態です。
また、まぶたに沿って乾いた目ヤニが義眼につき、自分でも気づかないうちに、「目にゴミがついているような状態」になってしまうこともあります。
さらに、まばたきをすることが難しく、寝ている時も右目は開いたままになってしまいます。

どんなに眠くても、人前で寝ることができません。
「治療」による見た目の問題
左目も網膜の一部がないため、視線があわないことがあります。
また、残った視野で見ているため、見えやすい位置で見ることで、頭を少し上げて下目づかいの状態(見下すような状態)となり、瞳の向きも左右非対称になってしまいます。

左目は下を向いているのに、右目は正面という状態になることが多いです。
さらに、放射線治療の影響で眼窩(眼球が入る空間をつくる周りの骨)が発育不全となり、こめかみ部分の凹みと目の周りが委縮があります。

発育不全については、それ以外の部分が正常に発育することで、成長するにつれて違和感が大きくなったと感じます。
「顔はおとな」だけど「目もとは子ども」みたいな感じです。
もしかしたら、男性だと余計に目立つのかもしれません。
- 眼球を残す治療によって眼球が小さくなったり、斜視や白内障などが起こり、外⾒的にも目立つようになることがあります。
- 特に放射線治療を行った場合は眼の周りの骨の成長が悪くなり、くぼんでしまうことがあります。
アピアランスの問題|「目」特有の悩み
がんに伴うアピアランスの問題として、よく耳にするのが「抗がん剤による脱毛」です。
「脱毛」の悩みを抱える人は多いですが、「かつら」を使用することで、見た目を健常者の状態に近づける方法があります。
しかし、顔にアピアランスの問題があると、隠したくても隠す手段が限定され、健常者の状態に近づけることが難しいという特徴があります。

私も、隠す手段はないものかと、手術を含めていろいろな手段を検討しました。
詳しくは、後半に記録しています。
アピアランスの問題|こころと成長過程に与える影響
隠すことが難しいアピアランスの問題は、こころの痛みをはじめ、様々なところに影響がありました。
こころに与える影響
学校も、私生活も、仕事も、顔を隠して行動するわけにはいきません。
どんな所へ行っても、不特定多数の人から好奇の視線や心ない言葉が飛んできました。
その中には、悪意のない(と思う)子どもの好奇心も含まれていますが、私を見て笑っている子どもの親がいたのも事実です。

私は、ぐっとこらえて、その場を立ち去ることしかできませんでした。
そんな経験をしているためか、「他人の視線が恐い」「自分の感情を素直に表に出せない」「好きなものを好きといえない」など、他者への恐怖感と自分の感情を抑え込む傾向があるように思います。

両親に相談したこともありましたが、
- 「そんなこと気にするな」
- 「そんな人無視すればいい」
- 「あなただけが大変なんじゃない」
- 「みんなそれぞれ大変なところあるんだから」
という回答が返ってくるだけでした。
成長過程での影響
アピアランスの問題は 成長過程にある私の人格・性格形成にも大きく影響していたと思います。
成長過程でのアピアランスの問題は、”こころに与える影響”やいじめの経験から、自己肯定感の低下につながり、否定的な人格形成の一助になってしまったと感じています。
しかしその反面、私は「弱い人間と思われたくない」という気持ちも強く、否定的な感情をこころの中に押し込めて、表面上は強がっていました。

こころは傷つき、自己肯定感が低かったけど、それを認めたくない・表に出したくないという感情から、自分の気持ちを素直に出せない性格になってしまったように思います。
アピアランスの問題|試みた解決策
目のアピアランスの問題は、隠したくても隠す手段が限定され、健常者の状態に近づけることが難しいですが、私が検討した手段をいくつか紹介します。
- 眼帯
- 義眼を隠す事は可能。
- 一時的なら良いが、ずっとつけているとそのことに触れられる。
- 私はメガネの問題もあるので、普段使いとしては焼け石に水。
- アイマスク
- 複数人で同じ部屋で寝る時、バスや新幹線などの長距離移動時に活躍。
- 「めぐリズム ホットアイマスク」を愛用。
- 目を隠せる
- 温かく香り付きでリラックスできる
- 眼帯に比べて、使用しても違和感がない
- サングラス
- メガネの上からかけられるものを使用
- 使用しても違和感がない季節・場所であれば、アピアランスの問題を隠すことができる
- 眼形成術
- 右目に対して、上まぶたをつくる手術を受けた
- 手術後は、上まぶたができたことで、右目の凹みが軽減
- 右目に対して、上まぶたをつくる手術を受けた
- 眼内レンズ:検討のみ
- 眼内レンズを入れる手術をすれば、「魚眼レンズのメガネ」を回避できる
- しかし、手術には残存視力・視野へのリスクがある
- リスクを負って手術を受けても、他のアピアランスの問題が残る
- 眼内レンズを入れる手術をすれば、「魚眼レンズのメガネ」を回避できる

私としては、メガネの上からかけられる「サングラス」と「アイマスク」が、手軽で効果がある解決策だと実感しています。
アピアランスの問題|私のささやかな抵抗
アピアランスの問題を完全に解決する策は、私の中ではまだ見つかっていません。
しかし、アピアランスの問題に負けないため、隠すこと以外にもささやかな抵抗をしてきました。
それは「人は見た目じゃない」を心情に、学生なら好成績、社会人なら資格や知識・技術の取得によって、とにかく優秀でいることでした。

良かったこともありますが、アピアランスの問題と視覚障害がある中、健常者よりも優秀でいることは容易ではありませんでした。
また、達成するためには疲労感も伴い、本当に自分がそうしたかったのかというと、そんなことはありません。
おわりに
網膜芽細胞腫は、発見が早ければ命を落とすことは少ない小児がんとされていますが、裏を返せば「障害や後遺症とともに歩む時間が長い」ということでもあります。
そのため、アピアランスの問題と向き合う時間も長く、成長過程に及ぼす影響も軽視できません。
「第一印象は見た目」
「人は見た目じゃない」
言葉は都合のいいように使われますが、幼少期からのアピアランスの問題が人生へ与える影響は、とても大きいと実感しています。
アピアランスの問題について、現在も悩むことは多く、解決策も見つけられていません。
簡単ではありませんが、解決策より大切なのは「自身の見た目を受け入れて大切にすること」なのかもしれません。

「わたしの声が、誰かの希望になる」ことを願っています。



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