【義眼の費用を軽減】作成費用に使える助成制度まとめ

制度と暮らし

(網膜芽細胞腫・眼球摘出後の義眼ユーザー向け)

ばっしー
ばっしー

この記事は、義眼ユーザーであり、医療職(理学療法士)として補装具や制度に関わってきた私が、一次情報をもとに経験と調べた内容をまとめています。

網膜芽細胞腫の治療で眼球を摘出した場合、多くの人が義眼を使用して生活しています。

しかし、義眼の費用は決して安くなく、作り替えも必要となるため金銭的な負担を伴います。

その一方で、義眼の費用負担を軽減できる制度はいくつか存在します。


ただし、制度は複雑で自治体差も大きく、どこに相談すればよいのか迷う方も少なくありません。

この記事では、義眼の作成費用に関する助成制度をわかりやすく整理しています。

制度の申請手続きや給付内容は自治体によって異なるため、最終的には居住地の窓口で確認することが必要です。

義眼の費用負担を軽減する制度

義眼費用は「全額支払い → 後日還付」という流れが基本になります。

  • 義眼の基準額:87,450円(厚生労働省 令和元年告示)
  • 耐用年数:2年(医師が必要と認めた場合は、この限りではない)

義眼の費用負担を軽減する制度は主に次の3つです。

  • 健康保険(療養費)
  • 補装具費支給制度
  • 子ども向け制度(小児慢性特定疾病・子ども医療費)

健康保険による還付

義眼費用は健康保険の「療養費」の対象となり、後日還付を受けられます。

ただし、義眼が療養費で扱われるのは “治療の一環として義眼を作成した場合” に限られます。

  • 健康保険が適用されるケースの例
    • 眼球摘出直後の治療過程で義眼を作る
    • 医師が「治療上必要」と判断した場合
    • 乳幼児〜小児期の治療継続中の義眼作成

療養費は「治療に必要な補装具を後から払い戻す制度」であるため、治療の延長線上にある義眼のみが対象です。

  • 健康保険が適用されないケースの例
    • 成人後に義眼が破損した
    • 経年劣化で作り替える
    • 美観のために作り替える
    • 治療はすでに終了している

治療終了後の義眼作成は健康保険の対象外になります。

また、眼球を摘出していない場合も対象外です。

💁手続き窓口

  • 健康保険加入者:会社の保険担当
  • 国民健康保険加入者:市区町村の国保窓口

📜必要書類

  • 医師が作成する書類
    • 診断書または意見書
    • 装着証明書
  • 義眼業者の領収証
  • 療養費支給申請書(各保険窓口で入手)
  • 印鑑
  • 振込先口座情報

💴還付額の目安

  • 基準額87,450円の7割:61,215円
  • 未就学児は8割:69,960円
  • 基準額を超えた分は自己負担

健康保険で申請した後、自己負担分を小児慢性特定疾病医療費助成で申請する方は、提出書類は必ずコピーしておきましょう。

補装具費支給制度(障害者総合支援法)

身体障害者手帳を持っている場合、義眼は「補装具」として扱われ、費用の一部が給付されます。

義眼の基準額は全国共通で87,450円となります。

治療終了後の義眼は、この「補装具費支給制度」が唯一の公的支援になります。

補装具費が使える条件

  • 義眼は「視覚障害者用補装具」に分類
  • 判定は視覚障害等級(=手帳の基準)を流用
    • そのため視覚障害として認定されていること(=手帳所持)が事実上の条件

片眼失明のみでは視覚障害等級に該当しないため、補装具費が使えないケースが多い点に注意が必要です。

(詳しくは「【片目失明の義眼は対象外!?】補装具費支給制度で助成されない理由を徹底解説」を参照)

📝手続きの流れ

  1. 申請
    • 市区町村に補装具費の支給を申請
  2. 判定
    • 更生相談所などが必要性を判断
  3. 支給決定
    • 補装具費支給決定通知書・受給券が発行
  4. 契約
    • 補装具業者と契約
  5. 支払い
    • 利用者は原則1割負担

支払い方式は次の2つがあります。

  • 償還払い方式:全額支払い → 後日還付
  • 代理受領方式:1割のみ支払い → 残りは自治体が業者へ支払い

📜必要書類

  • 医師が作成する書類
    • 指定医師の意見書
  • 申請書
  • 補装具業者の見積書
  • 身体障害者手帳
  • 印鑑

👛利用者負担

  • 基準額87,450円の1割(8,745円)
  • 所得に応じて負担上限あり
    • 生活保護:0円
    • 低所得(非課税):0円
    • 一般:37,200円
  • 市区町村民税所得割が46万円以上の場合は対象外

子ども向け制度

小児の義眼ユーザーは、健康保険に加えて次の制度が利用できます。

  • 小児慢性特定疾病医療費助成(都道府県)
  • 子ども医療費(市区町村)

小児慢性特定疾病医療費助成

18歳未満の子どもが、長期にわたる治療を必要とする特定の慢性疾患(網膜芽細胞腫も含まれる)にかかった場合、医療費の自己負担を軽減する制度です。

👧対象となる子ども

  • 18歳未満
    • 条件により20歳まで延長できる場合あり
  • 小児慢性特定疾病に該当
  • 医師が「継続的な治療が必要」と判断

💴助成の内容

  • 世帯所得に応じて月ごとの自己負担上限額が決まる
  • 上限を超えた医療費は公費で負担
  • 義眼は健康保険の療養費扱いのため、健康保険で残った自己負担分を小児慢性で軽減できる

子ども医療費(乳幼児・小児医療費)

子どもが病気やけがで健康保険が適用される診療を受けた際の自己負担分を、市区町村が助成する制度です。

義眼の療養費の自己負担分が対象になる場合があります。

🗾実施主体

  • 市区町村(自治体)
  • 小児慢性(都道府県)とは実施主体が異なるため、申請順が重要

👧対象となる子ども

  • 年齢(0歳〜中学生、高校生までなど自治体差あり)
  • 所得制限の有無
  • 健康保険が適用される診療であること

🚩申請の順番

  • 健康保険 → 小児慢性 → 子ども医療費
    • この順番で申請すると、最も負担が少なくなります。

まとめ|義眼の費用をできるだけ軽くするために

義眼の費用は高額で、さらに作り替えが必要になるため、どうしても金銭的な負担が大きくなります。

制度を利用することで負担はある程度軽くなりますが、すべての人が十分な支援を受けられるわけではなく、年齢や条件によって制度の対象外になってしまうケースもあります。

特に子どもの頃は手厚い制度がある一方で、大人になると支援が限られ、義眼とともに歩む人生の中で金銭的な壁を感じる場面も少なくありません。

義眼は生活の質に直結する大切な補装具であり、その費用負担が少しでも軽くなることが望まれます。

今後、助成制度の対象が広がり、より多くの義眼ユーザーが安心して必要なケアを受けられる社会になることを願っています。

この記事が、義眼とともに歩む方の一助となれば幸いです。

📚 引用文献

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