
この記録には、私が網膜芽細胞腫とわかったきっかけ、当時の治療、現在までの経過についてまとめています。
医学的な解説ではなく、あくまで「ひとりの経験」として読んでいただければ嬉しいです。
網膜芽細胞腫ってどんな病気?
網膜芽細胞腫は、網膜(目の一番内側の膜)にできる悪性腫瘍です。
生まれてくる子供の約17,000人に1人の割合で発症します。

17,000人に1人…。
昔は、人数にして年間80人程度と言われていましたが、現在(2025年)の出生数だと年間40人程度ですね。
片眼性と両眼性があり、割合は「2:1」です。

私は”両眼性”だったので、全く同じ境遇の人と会うことはなかったですね。
📚 引用文献
網膜芽細胞腫を発見!?|きっかけは「黒目の中に白い玉」
生後3ヶ月のことでした…。
私の場合は、母がミルクを飲ませている時に「黒目の中に白い玉のようなものがある」ことに気づき、近くの病院へ行きましたが、すぐに大学病院を紹介されました。
大学病院へ到着すると、すぐに入院手続きを促されて入院となりました。
その後の検査で、両眼性の網膜芽細胞腫と診断されました。
ここから怒濤の入退院生活が始まります。

私は後々、両眼性と片眼性の一部で「子どもへ遺伝する可能性」と「他のがんになるリスク」を知ることになります。
網膜芽細胞腫の治療|私の体験談

私には治療の記憶がありません……赤ちゃんですから。
この記録は、両親からの話と記録に基づくものです。
入院から4日後、右目の摘出手術(手術時間:約2時間30分)を行いました。
手術後は、左目の放射線治療が始まり、冷凍凝固手術を行いました。
その後も入退院を繰り返し、左目には光凝固手術、右目には冷凍凝固手術を追加で2回行いました。
この頃には、1歳7ヶ月を迎えていました。

命と引き換えとは言え、0歳で私の右目はなくなっていたんですね。
本人としても辛いですが、両親も胸を引き裂かれる思い…だったのかな?
その後も、網膜芽細胞腫が再発していないかを調べるため、眼底検査をはじめとする毎月の定期検診がありました。
また、摘出した右目に入れる義眼を何度も作り替えています。
(詳しくは「【義眼と歩む生活】網膜芽細胞腫で片目を失った私の経験」を参照)

眼底検査は、目薬(散瞳剤)をつけて瞳孔を開き、眼底の様子を診る検査です。
瞳孔が開いた状態なので、光がまぶしく感じますが、そこにライトを当てて先生が眼底を観察します。

子どもの頃は、苦痛な検査でした…。
治療後の経過は?|小学1年生まで夏休みは入院生活
手術後から小学生になるまでは、1ヶ月に1回だった眼底検査ですが、小学生になってからは1~2ヶ月に1回になりました。
子どもなりに眼底検査を頑張って受けていたのですが、しっかりと眼底を確認するため、1年に1回は入院して全身麻酔で眼底検査を受けていました。

全身麻酔での眼底検査は小学校1年生まで続いため、夏休みは入院生活でした。
なので、幼稚園の夏休みの行事(お泊り会や夕涼み会)は、行ったことがありません。

でも、先生や看護師さん、同室の患者さんなど、みんな優しくチヤホヤしてくれたので、実は楽しい思い出でもあるんですよね。
小学2年生以降は、全身麻酔での眼底検査は受けていません。
ですが、高校生までは、1~2ヶ月に1回の眼底検査は続きました。
大学生になってからは3ヶ月に1回となり、成人したころには1年に1回になりました。

幸いなことに、網膜芽細胞腫の明らかな再発はありませんでした。
現在も、1年に1回の眼底検査は受けています。
私は”両眼性”であったものの、明らかな再発がなかったため、治療後は眼底検査による経過観察がメインでした。
成人後は、アピアランス(見た目)の問題を解決したいという思いから、「義眼台の手術」と「眼形成の手術」を受けています。

義眼台の手術は、摘出した眼の空洞を整えるための手術です。
この手術によって、使用する義眼の厚みが薄くなりました。

眼形成の手術は、右目のまぶたの形やボリュームを持たせるための手術です。
この手術は、複数回行う予定でしたが、手術後の痛みと効果の実感が薄かったことで、1回のみで終了しました。
その他、網膜芽細胞腫の影響かはわかりませんが、ドライアイと逆さまつげがあり、1年に1回の眼底検査以外でも定期的に眼科は受診しています。
- 0歳3か月大学病院を受診し「網膜芽細胞腫」の診断
- 大学病院へ入院(3日後)
- 右目の摘出(7日後)
- 左目の放射線治療(17日後)
- 0歳5か月左目へ冷凍凝固術(1回目)
- 0歳7か月左目へ冷凍凝固術(2回目)
- 大学病院を退院
- 退院後は月1~2回の定期検診
- 0歳11か月左目に「新しい腫瘍」が見つかる
- 大学病院へ再入院
- 左目へ光凝固術
- 右目に入れる「義眼」を購入
- 退院後は月1~2回の定期検診
- 1歳6か月左目に白内障の症状
- 1歳7か月大学病院へ再入院
- 左目に冷凍凝固術(3回目)
- 左目の白内障に対する手術
- 水晶体を摘出(ここから眼鏡を使用)
- 大学病院を退院
- 退院後は月1~2回の定期検診
- 3歳0か月定期検診で矯正視力は「0.3程度」
- 3歳1か月全身麻酔で検査
- 大学病院へ入院
- 全身麻酔で眼底検査
- 異常がないため退院
- 退院後
- 大学病院で、月1回程度の定期検診
- 年1回、入院での全身麻酔による眼底検査
- 3歳4か月身体障害者手帳の申請・交付
- 視覚障害 6級
- 5歳7か月定期検診で矯正視力は「0.7程度」
- 7歳3か月全身麻酔での検査を終了
- 18歳まで1~2ヶ月に1回の眼底検査
- 眼底検査
- 高校卒業後は3ヶ月に1回
- 成人後は1年に1回
- 眼底検査
- 26歳右目に「義眼台」を入れる手術
- 28歳右まぶだの眼形成術
- 35歳身体障害者手帳の再交付
- 視覚障害 2級
おわりに
私は、両眼性の網膜芽細胞腫になりましたが、現在も1年に1回の眼底検査を受け、再発することなく過ごすことができています。
しかし、がんによる障害や後遺症と歩む人生は、決して平々凡々ではありません。
網膜芽細胞腫は、発見が早ければ命を落とすことは少ない小児がんとされていますが、裏を返せば「障害や後遺症とともに歩む時間が長い」ということでもあります。
大変なことも多いと思いますが、私の経験や生活に役立つ情報の記録が、少しでもあなたの支えになれれば幸いです。

「わたしの声が、誰かの希望になる」ことを願っています。


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